オールジルコニアはセラミックの種類の中でも、e - max(ガラス系オールセラミック)などと比べても、最も歯を削る量が少なくて済みます。
ふつうに考えて、歯に対して何かかぶせ物を入れようとした場合、かぶせ物自体の厚みというのがあるわけで、ある程度の厚みがないと噛みしめる力によって割れて壊れてしまいます。
厚みを確保するためには歯の方を削ることになるのですが、歯科医は常に歯の削除量を最小限にということを考慮して治療に取り掛かります。
かぶせ物(クラウン)に使用する素材はジルコニアなど何種類かありますが、ジルコニアはよく比較競合される e - max(ガラス系オールセラミック)と比べ、相対的に歯を削る量が少なくて済みます。
ジルコニアはセラミック系素材の中で現状最も強度に優れており、それに対して e - max(ガラス系オールセラミック)はジルコニアに比べると衝撃に弱い(強度的には劣る)ため、強度確保のために厚みが必要になります(厚みを増すことで強度を上げる)のですが、言い換えれば、その厚み確保の分、歯の方は削らなければならなくなる、ということになります。
<オールジルコニアクラウンで治療する際、歯を削った時のイメージ>
左が歯を削った状態になります。右がクラウンをかぶせた状態です。
皆さんの中には「ジルコニア どのくらい歯を削る?」などのキーワードで検索される方も、けっこういらっしゃると思いますが、この問いに対して明確に回答するならば、、、「ジルコニアで治療するのに必要な分だけ歯を削る」です。
自身の歯を最も削らなくて済む治療法(クラウンの選択)は?というと、、、
答えは、皆さんが最も嫌う銀歯(金属冠:メタルクラウン)にすることです。
銀歯(金属)はセラミックやジルコニアほど厚みを確保しなくても、そうそう割れたり(破損したり)はしません。
また金属はある程度薄く延ばすことも可能ですから、結果、歯を削る量を最小限に抑えることが出来るわけです。「安価で丈夫、歯を削る量が少ない」というのが銀歯のメリットです。
これをご覧になっている方々は、どこか歯医者を探しておられるのでしょうが、当医院サイトにたどり着いて、現にこの記事をご覧になっている方におかれましては、そもそも銀歯ではなく、白い歯(ジルコニア等)を検討されている方がほとんどかと思います。
なるべく自分の歯を削らないということを最重要ポイントとされる方々にお尋ねしたいのは、、、
仮にジルコニアクラウンやオールセラミッククラウンにするのに、最低限必要な歯の削除量が深さ2ミリだったとして、銀歯の場合だとそれが1ミリで済むとしたなら、、、口の中でギラッと光って見た目が悪くても歯の削除量が少ない「銀歯」を選びますか?ということです。
<ジルコニアクラウンで 歯を 削る 際の イメージ>
(クラウン)
(ブリッジ)
それともう1つ 皆さんに認識していただきたいのは、どのクラウンが何ミリ削る云々にこだわる以前に、歯科治療は歯科医(人間)による手作業が主となるという大前提をお忘れなく! ということ。
人間は精密機械ではありませんから、いくらゴットハンドと言えども、1本の歯を寸分の狂いも無く均一に手を動かしながら持続的にコンマレベルでコントロールして正確に削ることなど、、、いかがでしょうか?
ましてや口の中という極めて小さな視野に存在するこれまた小さい歯が対象なわけですから。
歯を削るという行程は、常に患者さんの口の開き具合をうまくコントロールしながら、唾液等を排除しつつ、口の中の視野をやっとこさ確保して、頬や舌・唇に切削器具が触らないように注意しながら等々、条件としては常にかなりの悪条件のもとで行われる「手作業」なのです。
「何々クラウンにするには歯の削除量が 何ミリ必要」 というのは、あくまで基準の(教科書的な)話であって、そこから先(治療 )は、まさに歯科医の腕に委ねられるわけです。
<オールジルコニアクラウンによる治療のデメリット>
オールジルコニアクラウンによる治療は、従来型のオールセラミッククラウン(e - max 他)やメタルボンドクラウンを使用した治療と 比べるとたいへん優位な点が多いのですが、あえてデメリットを挙げるとすれば、自由診療(保険適用外)になりますから、保険治療と 比べると、当然「治療費が高くなってしまう」ということが1つ挙げられるでしょう。
ジルコニアに限らず、どんな治療法にも必ずメリットとデメリットは存在します。
「費用が安くて、丈夫で長持ち、なるべく歯を削らず、見た目もキレイで、身体にやさしく、通院回数も少なく、痛くなくて、先生もやさしく治療も上手、デメリットは一切無し」などなど、条件の厳しいあなたの要求の何もかもを満たす都合の良い治療法など、いくら検索しても見つかりません。
何かにつけてインターネット情報収集から 入り、用心して準備万端で臨もうとするあまり、かえって多くの 情報に惑わされ、いわばマイナス要素(アラ探し)ばかりにとらわれて無用な 不安・不信を 抱くタイプ(懐疑心の強い人・心配性の人・研究熱心な 人) には、そもそも歯科の自由診療はおすすめしません。